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創業者たちの「将来を切り開こうという想い」

 弊社は、大正8年に田村駒の二人の同僚が独立して、繊維の貿易商を始めたのが起源です。それ以来、繊維の輸出を拡大し、昭和9年からは繊維の製造に踏み切りました。また昭和19年からは戦時下の企業整備令に従って電線製造を始めました。  その後、繊維事業から撤退して電線製造専業となりましたが、このように業態を換えながら92年間存続してきました。ベルサイユ条約調印の年(1919年)に21歳と20歳の二人の若者が、今日の姿を思い描いて始めたはずがありません。自らの腕で自らの将来を切り開こうと始めた事業が、その時代に応じて、自らを変え、時代の求める価値を提供してきた結果の今日だと思います。但しその過程では多くの困難や挫折もあって、それを乗り越えて今日に辿り着いた筈です。その乗り越える力の源泉が、創業者たちの、自分の力で将来を切り開こうという想いなのだと考えています。企業が存続し続けるのは誠に難しいことで、社会に求められる価値を提供し、社会に必要とされている企業が存続し得ているのです。

「千里万里一條鐵」という禅師の言葉

 弊社の創業者がご厚誼を頂いていた永平寺の禅師さんに書いて頂いた書が幾つか社内に残っていて、「千里万里一條鐵」はその一つです。久須本文雄著「禅語入門」には、次のように解説してあります。  千里万里という極めて遠い空間的な隔たりがあっても、一條の鉄をもって貫通しているということですが、終始一貫とか、万古不易とかの意味に解しています。 千差万別の現象は、絶えず生滅変化するものでありますが、この現象の奥に存在していつまでも変わることなく、現象をして現象たらしめている根源的なものが本体であります。かかる万有の本体を仏教では真如とも実相とも法性とも仏性ともいい、六祖大師はこれを自性ともいっておりますが、またこれは主人公でもあり本来面目でもあります。 これらは表現を異にしていますが、同義語でもありまして、総ていつまでも変わらない絶対的な真理であります。この絶対的な真理は万古不易であって、これが時間空間を超越して、終始一貫していることを「千里万里一條鐵」といいます。

禅語、そして事業の在り方

 これは事業の在り方を指しているともとれます。急激な経済変動や天災に襲われても、些事に囚われず、1つの方向を目指して進んで行く在り方は、弊社の辿った道を指しているようにも取れます。今自分たちはどの様な価値を社会に提供できるのか。その事に徹して今日出来ることを突き詰めることで、社会から求められる企業でありたい。この様な取り組みを続けて行きたいと思っています。

更新日:2011年12月6日

経歴

田中 利則(たなか としのり)

略歴

昭和29年生
昭和53年11月 倉茂電工株式会社 入社
昭和63年1月 同社 取締役
平成3年5月 同社 常務取締役
平成6年1月 同社 専務取締役
平成8年1月 同社 代表取締役社長
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