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当社は昭和32年の創業以来、60年近く医療機器の製造販売に携わってまいりました。 プラスチックの進歩、成型方法の進歩に伴って、さまざまな医療機器が生産されてきたわけですが、なかでもその機能性、コスト面において最も多く使われてきたのが塩化ビニール樹脂であります。安全性は勿論、柔軟性、透明性、などの機能は使い捨て医療機器には無くてはならない原料であります。

時代の要求に沿った製品開発

 医療機器の進化は輸液セット、輸血セットからスタートしてきましたが、やがて臓器の機能を代替する、人工腎臓、人工肺などの製品が開発されました。さらに難しい手術を余儀なくされていた治療法から穴を開け内視鏡で行う手法や血管からカテーテルを入れて行ういわゆる低侵襲治療が急速に開発されてきました。また埋め込み型医療機器も普及しています。将来的にはiPS細胞などを利用した再生医療などが見込まれています。 このような流れの中で、原材料の種類は増加しさまざまな成型法も駆使されると思います。 例えば、患者さん個人の臓器を立体的な図面に置き換えそれを3Dプリンターで再現し、患者さん個人の臓器に合った治療法を検討するなど既に実用化されています。 このような環境の中で、当社は従来製品の改良とより高い安全性を追求することは勿論、時代の要求に沿った製品開発を行ってまいります。

失敗の許されないチャレンジ

 さて昨今、日本経済の再生と銘打って成長戦略が盛んに議論されています。物づくり日本の再生というわけです。医療、環境、そして観光が目玉となっております。これは一般的には該当する業界にとっては大変結構な話ではありますが、長く業界にいる者にとってはいつも何とかしたいと考えてきたテーマであり、政府の戦略が変化したら何もかもうまくいくというような簡単なものではありません。認可が早くなるとか、よりやりやすくなることはありがたいことですが、治験が不要になる筈もないどころか安全性の確保や社会的な責任は一層厳しくなることでしょう。何事も基礎を固め、地道に一歩一歩進めていく姿勢こそが大事であると考えます。失敗の許されないチャレンジであります。

更新日:2014年6月30日

経歴

川野 幸博(かわの ゆきひろ)

略歴

昭和25年生
昭和51年2月 川澄化学工業株式会社
入社
平成12年6月 カワスミ ラボラトリーズ タイランド社 代表取締役社長
平成16年6月 取締役
平成17年6月 常務取締役
平成18年4月 代表取締役社長(現任)
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