弊社は、道路脇に立ち並ぶ電柱間に通信ケーブルを敷設する為に必要な様々な機材を製造販売しております。インターネット、携帯電話、ケーブルテレビ、電力会社様の保安通信線、その他様々な通信インフラ構築の一端を担っております。創業者が「電話の通話秘話装置」の開発製造を始めて60年、ほぼ現在の業態になり50年になります。また、子会社に電線メーカーを傘下に持ち、共に押出し成型機を使ったプラスチック成型業であります。
社会(地域)貢献を謳う会社は、世の中に沢山あります。何をもって貢献するかは、それぞれの会社によって異なります。私は、弊社が世に出す製品やサービスが、社会のお役に立にたつことは勿論ですが、その製品を世に出すことによって生まれる「雇用」と、頂戴した利益から「納税」することこそが、本当の社会貢献であり、会社の使命であると考えます。
一人でも多くの仲間と仕事ができる場を提供し、単に糧を得るためだけではなく、仕事を通して皆が互いに成長し心の充足をも得ていただく事を願っています。(そう言った仕組み作りに取り組んでおります。)また、会社と多くの仲間(社員)がお納めした税金で、より良い社会環境の整備が進み、人の心的、物的成長とのより良い循環が生まれれば、きっと住み良い社会が実現できると願っております。会社の目標は利益を上げていくことですが、その利益は「雇用の維持創出と納税」という追及し続ける目的の為の手段であると考えます。
今でこそ、このような事を考えるようになりましたが、社長就任当時は、単に「後を継いだだけ」で、特に何か心情めいた事を思うことはありませんでした。黒字でそれもなるべく多くの黒字で決算を迎える事しか考えていませんでした。そんな中、2011年度に起きた極端な市場収縮により、当該年度は大きな赤字を計上しました。市場の回復が、しばらくは望めないと考え工場を中心に希望退職を募りましたが、計画に達さなかったために何名かの方に退職勧奨を行いました。言われる側、言う側、どちらにとっても気持ちが暗くなる非常に辛い状況です。勧奨を言い渡した時の社員の表情が脳裏に焼きついています。全てが終わった時に「今後、あんな思いを絶対させてはならない」と誓ったのでした。それからというもの「人を雇用すると言うことはどういうことか」を常々考える様になり、結果得た結論めいた事が前述の「企業の使命は雇用と納税」です。
弊社は基本のプラスチック成型業に注力する他に積極的にM&Aを展開していこうとしております。これは、単一の業態に依存して、その業態が悪化したときも他の業態でカバーできるメリットや既存事業との有形無形のシナジー効果を狙った戦略ですが、ここにも「雇用」というキーワードが生きてきます。様々な理由によって存続が危ぶまれる、もしくはオーナーさんが手放そうと考える会社をM&Aによって弊社のグループになっていただき、当社の理念の下、心的成長と物的充足を共に分かち合える仲間を一人でも多く増やしていき、雇用と納税によってそれぞれの地域に貢献していきたいとの側面も持っています。変化する社会情勢によって、取り組む事業内容も変化してやもしれません。 しかし、この「雇用と納税」という心情は変わらず持ち続けたいと思っております。