2016年2月8日
ベトナムホーチミンの一住民として生活するなかでその時期特有の景色の変化を見落としていてはもったいない話ではありますが、ホーチミンは常夏なので、日本のような1月らしさを一切感じることもなく、目の前で起こっている変化に気が付きもせず時が同じ調子で流れていくような感覚になってしまうものです。このブログを書くことがきっかけではありますが、意識的に景色の変化を探してみる事にしました。
1月末である今はテト(旧暦春節)を目前に、季節的には春がおとずれる直前の時期にさしかかっています。
どこかに、この時期特有の季節感を感じられるような変化はないであろうか?と周りを見渡していると、なんと落ち葉の数量が尋常で無いことにふと気がついたのです。
どうやらテト前から3月にかけての期間が1年間のうちで最も落ち葉が多い季節であるようです。木の下だけではなく道端にも黄・紅に色付いた落ち葉は散らばり、落ち葉だけに集中してみると日本の秋に落葉する風景にとてもよく似ています。
ただ、風景全体の季節感という意味では違います。気温が30度をもこえる暑さなの中、緑で生い茂った木々から地面に向かって紅葉した葉だけが舞い散るという日本では体感した事が無いなんとも不思議な感じがする情景であります。
ホーチミンは東京から南西へ約4300km離れた位置になりますが国全体はホーチミンから北へ長い国土があり、国の総面積は約32万k㎡。縦長の国土であるにもかかわらず北部も南部も基本「雨季」と「乾季」の2季節で、東南アジア特有の気候と言われていますが年間を通して蒸し暑いのは南部のホーチミン側だけであります。
常夏のホーチミンは平均気温が27度で年間を通して高温であり雨季は5~10月で乾季は11~4月です。
雨季がはじまる4月・5月がこちらで最も暑い時期となり、どうやらその最も暑くなる時期を前に葉っぱが生え変わる準備が始まっているようなのです。
今は乾季で本当に雨が降らず、ここ3ヶ月くらいはまったく雨が降っていない状況で、水を得ていない木々は部分的に葉が枯れた状態となり落葉する。これはこの地域この季節特有の自然の摂理なんだと思います。
下の写真は中心街にあるサイゴンオペラハウスでフランス統治時代の1898年ごろに建造された現在は市民劇場。
手前の大きな公園では半袖シャツを着た学生がよく木陰で涼んでいる光景を目にします。常夏の緑森林と半そでシャツの学生を背景に、その視界には紅葉した大量の落ち葉が入ってくるなんともミスマッチな光景は更にインパクトが大きい不思議な感覚に包まれます。
その落ち葉はそのまま放置していると大変な量になりますので、毎日のように市の清掃員の方々が落ち葉を集めています。中には市の清掃員とは違うボランティアのような年配の方々もおられ、もしボランティアだとすれば更にすばらしい情景であります。
道端や歩道にいくと落ち葉を掻き分けてプラスチックの椅子が並べられており、朝早くから夜遅くまで飲み物や食べ物の屋台がたくさんたち並んでいます。食べ終わった使い捨て容器や食べ残し、調理残飯は落ち葉と一緒に木の根元あたりにもとめられています。それを1日数回 オレンジ色の作業服を着た市の清掃員と思われる方々が竹ほうきで落ち葉もろとも清掃され、専用カートを引きながら回収して周ってくれています。
このように公園や歩道は落ち葉やごみで埋もれることなく、きれいな状態が保たれ、街の景観は維持されています。
何気無く歩いていていても立ち止まって辺りを見渡せば、その地域のその季節にしかない風景と季節感に出会えることを実感しました。
まだまだ現地に滞在していなければ出くわさないであろう情景がありそうで、外国人にとっても素敵な地域である事は間違いないと思うこの頃であります。