2017年11月1日
ホーチミン市内にはフランス統治時代からあるコロニアル建築の建物が立ち並んでおりとても見応えのある建造物がたくさんあります。
政府は今でもその温故ある町並みを残す努力を行い、巷でアジアの「パリ」とも呼ばれるゆえだと聞きます。
ホーチミンのピンク色の教会として有名なタンディン教会や中央郵便局はフランス統治時代に建設されました。
中央郵便局はヨーロッパの駅のようだと例えられることもあるようで周囲の道幅は広くゆったりとしていてパリを思わせる雰囲気があります。
その他コロニアル建築で代表的なホテルはコンチネンタルやマジェスティックホテルがあります。
歴史を感じさせる建物はなぜか見ているだけで穏やかな気持ちにさせられます。
ベトナム・ホーチミン市の街中には各所にラウンドアバウト信号が不要なドーナツ型の環状交差点が多く配置されていますがこれもフランス統治時代の名残だと聞きます。
インタ―ネットマップをご覧になると分かりますが、四本以上の大きな道路が交差する場所にはラウンドアバウトが多数存在しています。
現在ホーチミンでは大体決まった時間帯に渋滞が多く発生していますが、渋滞の先頭にこのようなラウンドアバウトがあることも多く見受けられます。
当時、ラウンドアバウトを作った人達はホーチミンのバイク量がここまで増えることを想定もしていなかったのではないのでしょうか。
そもそもラウンドアバウトは前提として『車両どおし通行の邪魔をしない』という譲り合いの精神が必要であると聞いたことがありますが、我が先と他車の行く道を阻み割り込まなければ先に進めない現実を目の当たりにしますと、譲り合い精神の前提は皆無であり暗雲の呼吸と洞察力が要求されるようです。
この先、ラウンドアバウトを起点とした慢性的な渋滞が解消されるのは物理的にバイクの数が減る時が来るまで無理なような気がしております。
ホーチミンにはバインミーと言う名の今やベトナムの国民食とも言える軽食があります。フランスパンをタテに開いて中に具材の豚肉・ネギ・香菜などをパテで挟んだサンドイッチのようなものです。
やはりこれもフランス統治時代に普及したもので、使われているパンもちろん『フランスパン』です。イメージするフランスパンよりも柔らかいのでとても食べやすく美味しい食べ物です。
有名な某ファーストフードバガーショップがベトナムで苦戦しているのはこのバインミーの存在があるからだと言われるくらいベトナム人の食生活に欠かせない食べ物になっています。
意外だったのですが、「ベトナムのカフェ」もフランス文化の名残の一つでした。ホーチミン市内にはいたるところにお洒落なカフェがあり、これらは旅行者はもちろん、ベトナム人にとっても貴重な憩いの場所になっています。
ホーチミン市内では電柱の間隔毎にカフェショップがあると言っても言い過ぎではないくらい、最初は数の多さに驚きました。
ベトナムコーヒーはフレンチプレスと同様のプレス式抽出です。フィルターにセットしたコーヒー豆粉の上に圧力をかけるための押さえをセットし、上からかけたお湯の重みで豆粉に圧力をかける方法で淹れられます。
今や生産量世界第2位であるベトナムコーヒーですが、ベトナム人がコーヒーを好んで飲まれる習慣のなかにフランス文化の名残を見つけました。
ホーチミン市内では『Pate Chaud』といったパイが売っているのをよく見かけます。
パテ(Pate)は肉をすり潰して調味しオーブンで焼いた『パイ』のことで、chaud(読み方はショ)はフランス語で温かいの意味です。
ホーチミンで売られている『Pate Chaud』はパイの中に豚のひき肉・玉葱などが混ぜ合わさった具が入ったもので、パイの生地と甘辛味の具が絶妙にマッチしたフランス料理に出てくるものと全く遜色がありません。
デミグラスソースをかけると更においしいさと高級感が増すと聞いています。
これらのフランス統治時代に普及した現在も人気がある食べ物は他にも多数ありそうなのですが、ここまでにしておきます。
現代ベトナム語はアルファベットに似たクオックグーという文字で表記されフランス語特有の文字が多く使われています。そして話し言葉でも、フランス語由来の外国語日常語として使用されています。
例えば電話の受け答えのもしもしはフランス語でAllo『アロー』ですが、ベトナム人も電話にでたときにハロ-ではなくAllo『アロー』と言います。
普段ベトナム人どうしが交わすベトナム語の中にもフランス統治時代の名残がたくさんある事を知りました。
いままで、ホーチミンで生活をしていながら、フランス文化の名残について取り上げて気にすることもありませんでした。今回を機会に沢山の名残があることを知りました。
時代が変わり色々なことが新しく移り変わっても、良い物や好まれる物事はごく自然に残り続け、引き継がれていることに私はフランス人ではないのですが少し感動したところです。