弊社は1970年の創業以来、押出成型メーカーとして軟質チューブの製造に特化して成長いたして参りました。お客さまのニーズに合った製品を「品質」「価格」「納期」のいずれも満足いただける様に、日々努力を続けております。
弊社が創業した時期、日本は高度成長期からオイルショックを迎える狭間に当たります。 先代社長(実父)が、自宅の一階を潰してコンクリートで固めて、押出機2台を購入したのが始まりです。当時、私は幼稚園児だったのですが大きなトラックが家の前に横付けされて機械が搬入されるのをワクワクしながら見ていた記憶が鮮明に残っております。 ここから5年間、自宅が工場となった訳ですが生活と物づくりが一体となり、それが当たり前であると考えておりました。製造業の原点とも言うべき環境を体験出来た事は、後々の私の支えになったと考えております。
私が大学在学中、日本はバブル期に突入して行く時期と重なっており、学生の多くは製造業を敬遠して金融機関を志望する者が多かった様に思います。私もその中の一人であり、これからは間接金融から直接金融の時代だと考え、大手証券会社に就職致しました。 営業職としてお客さまと向き合う訳ですが、お金を数字として扱い、その数字を達成することにのみ専念していたと思います。お客さまの満足は資産という数字の増加のみであり、いささか疑問を抱いておりました。その状況下で先代社長の右腕として社業に貢献していた叔父が入院することになり、家業に戻る事となりました。
証券会社から家業に戻り、先ず通貨の単位が変わりました。それまでは日々何億というような数字が出ていましたが、製品単価は何円何十銭という数字でありそれを積み重ねて千円になり、万円になります。コツコツと数字を積み重ねるしかありません。ただ、そこには金融とは大きく異なるものがあります。お客さまに買って頂く物、つまり「製品」があるのです。 顧客に満足してもらうには製品の満足度を上げるしか方法がありません。 「品質」「価格」「納期」で競合他社より少しでも優位に立つ事は出来ないか? その為にはどうすれば良いか?そこで当時の弊社の生産能力や技術を冷静に分析して軟質チューブに特化することが最も合理的であると判断致しました。異型押出製品や硬質パイプ等も一部手掛けておりましたが、新規受注品は同業他社に委託生産する事とし、軟質チューブの生産効率を上げると共に、顧客が必要とする規格(UL規格、CMJ規格等)を順次取得して行き、それに比例して顧客数も増えて行きました。
物造りとは何か?私の考える物造りは、お客さまから必要とされる物を造る事と思います。 「品質」「価格」「納期」このいずれかが欠如すれば、お客さまからソッポを向かれてしまいます。業種、業態によりアプローチの仕方は異なりますが、弊社としてはこれからも軟質チューブに特化し続けたいと考えております。自動車、家電、電設資材、医療、雑貨と可能性はまだまだ広がっていると思います。これからもお客さま、仕入れ先様に必要とされる企業であり続けたいと考えております。